MEMO
「上伊那ぼたん, 酔へる姿は百合の花」の3巻・4巻に関しての感想・解釈
「上伊那ぼたん, 酔へる姿は百合の花」という私の琴線を触れまくった漫画の感想と軽い状況整理を行なったものです. 3巻・4巻の内容に触れるので, ネタバレ注意です.
「上伊那ぼたん, 酔へる姿は百合の花」の3巻・4巻に関しての感想・解釈
※この世に生誕して以降, ずっと国語が苦手な人間の書く拙い文章です
※以下, ネタバレ注意です ※アニメ8話以降の話です
4巻からの#31~37の心理描写が特に好きで印象に残っています.
ざっくりとした話の流れです:
- #23 ジンランさんと上伊那さんのサシでバーに行く話
- #24 上伊那さんと砺波さんで河原でお酒を飲む話
- #25 砺波さん郡上さんジンランさんが寮で一緒にお酒を飲む話
- #26 上伊那さんと砺波さんが泊まりで夜景を見に行く話(前編)
- #27 上伊那さんと砺波さんが泊まりで夜景を見に行く話(後編)
- #28 上伊那さん砺波さん郡上さんジンランさんが美術館に行く話
- #29 郡上さんとジンランさんがサシでバーに行く話
- #30 寮でみんなでお酒を飲む話
- #31 上伊那さんと砺波さんがショッピングデートに行く話
- #32 郡上さんとジンランさんがサシでご飯を食べに行く話
- #33 上伊那さんと遊佐さんがサシでシーシャを吸いに行く話(前編)
- #34 上伊那さんと遊佐さんがサシでシーシャを吸いに行く話(後編)
- #35 寮のみんなでロープウェイに乗る話
- #36 郡上さんとジンランさんが本屋デートする話
- #37 上伊那さんと砺波さんとで泊まりで温泉に行く話
全体を通して作風に感じられるのは、"季節"に意味が込められていそうなことです. 文学作品では, 春・夏は"青春", 秋は"成熟"・"無常", 冬は"晩年"・"希望"あたりの意味が込められていることが多いと思っていますが, この作品でもそれを如実に感じられます。
#23 で張さんが上伊那さんと砺波さんの関係性の不健全さに対し言及し,
上伊那さんもそれを明確に自覚して以降, #24 からの上伊那さんは, どこか上の空の雰囲気が感じられ, ストーリーにどこか重々しい空気感を感じていました. 「季節が進むことを躊躇ってるみたい...」から始まるように, 上伊那さんが砺波さんとの今後の関係性を不安視する描写が見てとれます.
ここでの"季節"とは、おそらく"関係性"のことだと思います。#24 の最後, 砺波さんが「奥 行くと深くてあぶないよ!」 に対する上伊那さんの「大丈夫ですよ 私は」という返答から, 上伊那さんはこの関係の先に行く準備ができていることがわかり, 砺波さんはまだ準備ができていません.
#27 で上伊那さんと砺波さんは友達以上の関係になりましたが, そこで二人が気にしているのは砺波さんが言うように「あと何回一緒にお酒を飲めるかな?」という, 大学生という期間・関係の"無常さ"です. これは, #34 での遊佐さんとのカフェからの帰り道に上伊那さんが「未来の話は楽しいけど...最近はそれが少し不安で」というところからも読み取れます.
#35 では, #4 で取り置きしていた星のピアスを上伊那さんが買おうとしましたが, 売り切れていまっているという回想が挟まっています. 砺波さんと何かしらの"繋がり"が欲しいのだと思います。 ロープウェーを降りると山頂での上伊那さんと砺波さんとの対話のシーンで上伊那さんが「今の時期は寒くて少し寂しいね 」「暖かくなれば梅や福寿草の花が咲くだろうに」と述べています. こじつけですが, 福寿草の花言葉は"永久の幸福"です(梅の花の花言葉は"忠実"や"美と長寿"だと思いますが意図はよくわかりませんでした). 砺波さんは, 「見てぼたん!冬の桜だって!ね!寂しくないよ!冬!」 とあるように, 冬の"孤立"や"別れ"といった感情を抱いている上伊那さんに"希望"を与えてくれています.
最後, #37 ですが, ありえないぐらいすごいです. 上伊那さんが「したい...ね?いい?」というと, 砺波さんは「あの まって...」「その 私...準備が---ひっく」と答えてしまいます. #27 で友達をやめたふたりですが, その覚悟があったのは上伊那さんだけだったのです. しかし, その後の上伊那さんの言葉でおそらく決心のついた砺波さんは上伊那さんに"あの星形のピアス"と"ピアッサー"を渡し, 上伊那さんの耳に孔を開けさせてほしい, と頼みます. そうして二人は互いに耳に孔を開けあうのですが, もうこれは性交渉のメタファーでしかないです. #27で精神的繋がりのみだったものが, 無事, 精神的にも物理的にも繋がりも得られ, 今後の人生で二人の関係が続くことが確定したというわけです. すばらしいですね...
この一連の流れで感情が昂りまくってしまい, 1日で全巻を3周ぐらいしました... 普段, 漫画はほとんど読まないですし, ましてや感情の整理や考察まではしたことがなかったです. が, この作品には私にそれをさせるだけの味があり, 私の中の漫画史に残る一冊です. 私にこのような感情を与えてくださり, 塀先生ありがとうございます.