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導入
今年も京都大学特色入試の時期がやって参りましたね。 Twitter では
を筆頭に、口頭試問での 22 の定義が話題になっています。(そもそも、私は、高校で 22 を定義した覚えがありません🤔)
さて、この記事では そんな 22 をKan拡張を使って圏論的に定義します。
参考文献
- Riehl, Emily. Category theory in context. Courier Dover Publications, 2017.
- hora-algebra, 順序集合で遊ぶ Kan 拡張入門, https://hora-algebra.notion.site/Kan-8f1b4f4f3bd04d16a5a22ad0d1411f69?pvs=143
- 壱大整域 https://alg-d.com/math/kan_extension/
準備
- 前提:「圏」と言えば、 1 -圏を指すことにします。
まず、 Q,R,R+ を順序集合として 1 -圏とみなします。つまり、
- 対象:元 x∈Q,R,R+ ;
- 射 x→y を:x≤y のときただ一つは生え、そうでないときは空な射 ;
です。これにより、単調増加関数は関手となります。
次に、 a>1 を取ります。このとき、a(−):q↦aq (Q→R+) は単調増加関数になります。
そして、 i:Q↪R を順序集合の包含として関手とみなします。
本題
[定理 1]
関手 F:C→E と K:C→D をとる。このとき、任意の d∈D に対して、余極限
(LanKF)(d):=colim(K↓d→ΠdC→FE)
が存在するならば、この components は左 Kan 拡張
LanKF:D→E
を定める。そして、双対的に、任意の d∈D に対して、極限
(RanKF)(d):=lim(d↓K→ΠdC→FE)
が存在するならば、この components は右 Kan 拡張
RanKF:D→E
を定める。
ここで、関手 Π はコンマ圏からの自然な射影である。
準備をこの [定理 1] に適用すると、
(LaniF)(x):=colim(i↓x→ΠxQ→a(−)R+)
Ri↑Q↘a(−)⟶ LaniFR+
というものが得られます。ここで、コンマ圏 i↓x の対象は
- q∈Q と i(q)→x の組。
このことから、
(LaniF)(x)=q∈Q,q≤xcolimaq
そして、 順序集合において余錐 が「上界」対応するという極めて自然な図式の観察から、余極限が「上限」に相当することがわかるので、
(LaniF)(x)=q∈Q,q≤xsupaq
が成り立ちます。
以上より、a>1 と x∈R に対し、
ax:=q∈Q,q≤xsupaq
と定めると、これは a(−) の i に沿った左 Kan 拡張の値となります。
上の定義は a>1 のとき、単調増加性のもとで well-defined で、 0<a<1 のときは、 a(−) が単調減少関数なので、R+ の双対圏 R+op を考えればいいです。このとき、 sup は inf に変わります。
さて、右 Kan 拡張を考えると、
a(x):=(RaniF)(x)=q∈Q,q≥xcolimaq=q∈Q,q≥xinfaq
です。
このことから、「上限と下限が一致している」、つまり、この 左・右 Kan 拡張の一致が「有理数 R の完備性」に対応していることが伺えます。
a=1 のとき、 a(−) の 左・右 Kan 拡張は定関手になり、 x↦1 という定関手が得られます。
a≤0 のとき、任意の q∈Q に対し、aq を考えるのは困難です。定義域を奇数分母の有理数などに制限すればいけると思います。Kan 拡張として捉えるのはおそらく難しいのではないでしょうか???
ここまで読んでいただきありがとうございます。
蛇足
これはいい思い出ですが、私は、2023年11月10日、まだ浪人していた時に、京理特色を受けて見事に筆記の時点で落とされましたね...私の数学力はあの時完全に証明されたと思います。

(私のインスタから拝借してきました。)